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でんすけ つまり人とペットとコンピューターの未来 [SilentC]

※フリスク主催の第二回ColdFireアプリケーションコンテスト応募作品のプレゼン資料のWEB版です。硬いイメージの文章を書いてしまって、ちょっと、いやかなり恥かしいなぁ。
Img_0949_s.jpg 今の日本は親世帯と子供世帯が別々に生活する核家族がかなりの割合を占めていると思われます。また東京等の大都市圏への一極集中が進み、親世帯と子供世帯が何か有った時に直ぐには駆けつける事が困難な距離を持ってしまう事も多いでしょう。

家族が離れて暮らすと、当然お互いに無事で居るのかが心配になってきます。もし離れて暮らしている親に突然何か起きたら!と言った懸念は子供にとっては当然です。




images631369.jpg そう言った不安を解消する為に、最近では家電製品にインターネットと接続する機能を持たせた製品が出ています。 例えば写真の電気ポットでは、比較的頻繁に利用される電気ポットの利用状況を確認し、もし長時間電気ポットの利用が無かった時、異常としてネット経由で家族や、周辺の保護者へメール等で連絡が行くシステムの一部を構成しています。

同様に冷蔵庫の開閉状況をモニターし、やはり連絡を行う物も実際に利用されています。




上記の電気ポットや冷蔵庫は商用サービスとして提供され、テレビ番組にて、実際に役に立った!、御年寄りの危機を救った等紹介されました。

テレビ番組の内容は、 家族と離れて暮らしている御年寄りが、トイレからでた所で突然足を動かす事ができなくなり、その場で転倒、動く事ができなくなりました。 この御年寄り家庭には先の電気ポットが置いてあり、トイレの前で倒れた為に、通常頻繁に利用される電気ポットが長時間使われない事となり、電気ポット自身が管理センターに異常として報告を行いました。
管理センターでは予め登録されている連絡先に電気ポットの利用が長時間無い事を連絡し、その連絡を受けた家族がお年より家庭に駆けつけ、すんでのところで救出したと言う話です。

上記は、「電気ポットが役に立った、とても良かった!」と言う話ですが、しかしこのシステムには大きな欠点が見えて来ます。つまり速報性が低い事です。

先の例では本人は動く事が出来ないだけで倒れた直後には意識はちゃんとありました。この時季節は夏で、この状態で救出までに長時間掛かってしまった為、脱水症状を起こし、本当に命の危険に曝された訳です。

そこでもっと速報性のあるシステムを考える訳です。例えば常に携帯電話を持ち歩いていれば直ぐに救出を求める事が出来たでしょう。しかし家の中で、しかもトイレに行く時まで常に携帯電話を持ち歩いている人はそれ程多くは無いでしょう。”携帯”電話なのですが、こと家の中に限れば携帯性が高くない。
また緊急性のある連絡では、意外とこの携帯電話のインタフェースは向いていない。こう言った機械を苦手としている御年寄りも多い訳です。

ならば電気ポットや冷蔵庫に携帯性を持たせれば良いのか?。または常に人と一緒に電気ポットや冷蔵庫が移動して廻れば良いのか?。
これは現実的では無い話なので、ここはハイテクを利用して移動可能なロボットの登場を待ちましょう!、、、。 何時まで?家の中を自由に移動でき、常に人の動きを把握できるロボットです。20年後?30年後ですか?。

もし人と行動を共にし、家の中を比較的自由に自立移動できる何か!が有ればこの問題は解決に向かいます。

そうです、人間には何万年も前から共生関係となる契約を結んだパートナーが居るじゃないですか。ワンちゃんです。
犬は極めて社会性の高い動物で、常にグループで行動する事を基本としています。家庭と言うグループの中で人間は犬の主であり、主従関係の従の位置にある犬は主の行動を観察し、常に共に行動をする事を望みます。しかもこれが極めて自然に行われるので、主である人間は犬に観察されている事を意識していません。
むしろこの関係は人間の心を癒し、ペットと共生する事に喜びを感じるものです。 家の近所にも沢山の御年寄りがワンちゃんを連れて散歩に出ている姿をみる事が出来ます。誰もがワンちゃんは大切な家族なのです。




0708_1024_768.jpg 使役犬と呼ばれる盲導犬や、介助犬等、ワンちゃんが人間をサポートする例は沢山あります。グループで行動する犬にとっては自身の役割を常に認識しており、グループの中で役に立つ事を望みます。役に立つ事で誉められれば喜び、なお更自分の役務に励みます。だから盲導犬や介助犬、それに限らず昔から狩猟や放牧などで活躍してきたのですから。




Img_0933_s.jpg 「でんすけ」はワンちゃんに装着する無線子機と、インターネットに接続する無線親機で構成されます。無線通信には2.4GHz ISMバンドのIEEE802.15.4をベースとしたZigBeeプロトコルを使用しています。
ZigBeeプロトコルを搭載した無線機器は、省電力の為に送信出力が小さい装置を使用した場合に無線到達距離が短かった時や、2.4GHzと言う高い周波数の特性から来る物陰に届き難いと言う状況が発生したとしても、中間に中継用のルーターを挿入する事で無線の到達範囲を任意に延長したり、物陰を作らないと言ったメリットがあります。
家の中の複数の個所に無線ルーターを設置すれば、おそらく家中をカバーする事が可能でしょう。

写真は上側がInterface誌のColdFire基板を利用した無線親機と、下側がワンちゃんに装着する無線子機となっています。この写真の無線子機は試作1号です。




Img_0941_s.jpg 無線子機をワンちゃんに装着した写真が、一番最初の写真と、左の写真になります。
一番上の写真の様に、ワンちゃん用の服にポケットを付けて、その中に無線子機を収納しています。また、左の写真の様にワンちゃんの胸の部分には動作確認用のLEDと押しボタンスイッチを取り付けています。

緊急時にはこのボタンを押して親機に異常通報を行い、親機がそれをメールメッセージとして、予め登録されたメールアドレスに送信します。




以下は異常発生時のメールメッセージ例です。
------------------------------------
Caution! A serious accident occurred.
Please contact it as soon as possible.
------------------------------------




Img_0829_s.jpg 無線子機の電源には、充電可能なリチウムイオン二次電池を使用しています。これはUSBコネクターで充電可能で、一回の充電で2日程度は稼動可能です。

単三アルカリ乾電池等を使用すればもっと長時間の稼動は可能ですが、その場合電池は2本使用する事となり、重量が増える分ワンちゃんの体への負担を増やしてしまう事となりますので、より小型化できるリチウム電池を使用しています。この程度なら超小型犬でもない限り特に負担とはならないでしょう。
但し電池電圧が低下してしまうと肝心な時に稼動不能となるので、1秒置きに電池電圧を監視し、もし電池電圧が規定値以下に下がったら、親機に無線でその事を通報します。この時親機は登録したメールアドレスに電池電圧の低下をメッセージとして伝えます。




以下は電池電圧低下検出時のメールメッセージ例です。
------------------------------------
Warnig! Low battery detected.
A Charge is needed.
COUNT=00460 VBAT=03493 VCC=03273 TEMPERATURE=00136
------------------------------------




この他の異常検出として、親機側は子機からの無線通信の間隔をチェックしており、通常1分周期で子機からの状態報告が送られてきますが、それが5分以上送られて来ない場合は子機異常としてやはりメールで送る事になっています。

以下は5分間タイムアウト検出時のメールメッセージ例です。
------------------------------------
Warnig! Can't receive a radio.
------------------------------------




Img_0912.jpg 最初の試作子機では、無線機からケーブルで延長した、スイッチとLEDを搭載する小さな基板を作成しました。この基板は首輪からぶら下げる形になります。

実際にこれをワンちゃんの服に装着してみましたが、納得の行く物ではありませんでした。どうしてもケーブルが体の動きを阻害してしまうからです。また、首輪に装着する基板の取り付け、取り外しも面倒です。やはり日常的に使用する物という事を考えると、ワンちゃんの負担にならない物で、更に装着し易い物が必要です。




Img_0946_s.jpg そこで試作2号では導電糸と言う電気を通す糸を使って電気配線とし、スイッチやLEDもこの布地に縫い付け易い物を使用しています。これでケーブルやLED、スイッチまでもが服と一体化しているので、装着性や動きは格段に良くなりました。

写真は胸の辺りに付けたLEDとスイッチです。手芸に関して全く持って才能が無いので、とてもでは無いですが綺麗とは言い難いですが、一応これでも機能しております。




ですがこの導電糸を使った方法にも問題が有ります。まず耐久性です。縫製が下手な事は置いておいて、どの程度洗濯に耐えられるかが不明です。また通常の糸に比べるとこの導電糸はほつれ易い様に感じました。

次に短絡の問題です。当然ですが電気を通す糸が剥き出しでそこにある訳です。それが縫い付けられているのは基板の様にある程度形状が変化しない物ではなく”布”ですから。皺が寄ったりすれば簡単に短絡を起こします。 何らかの対策が必要です。

ですが、この方法は可能性を感じます。常に改良を行っていく価値は有ると思います。




さて、今回の解説ではInterface誌付録基板の解説はほとんど行っていません。全然ですね。
これは付録基板に興味が無いとかそう言った事ではなく、この基板とそれに搭載されているSilentCが成熟しているからです。もう、提供されている機能をそのまま使うだけ!と言ったレベルまで完成されています。
これは楽でした。自分でプロトコルスタックを含めて実行環境を作ったら、きっとそれの苦労話ばっかりでしょうからね。





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コメント 4

masato

「アドバンスト部門」での受賞、おめでとうございます。
さすがはセクスィ部長殿。
by masato (2008-12-16 23:06) 

hamayan

おわ!情報はや。有難うございます。

受賞の事は勿論凄く嬉しいです。
しかし、フリスクの計らいで山海教授との座談会を設けて貰って、良い話を沢山聞けたのも同じくらい嬉しかったです。
やっぱり山海教授は良い人だわ。

by hamayan (2008-12-16 23:17) 

Sim

受賞おめでとうございます。
InterfaceのColdfire特設ページを見て、今頃気づきました><

by Sim (2008-12-19 00:35) 

hamayan

いや、すいません。賞をもらってしまいました。
皆さん力作なので、誰がもらってもおかしくはないのですけれど。

そう言えば今日気付いたのですが、あのInterfaceのColdFire特設ページには、何時の間にかコメントとトラックバックを受け付ける様になっているんですね。

当日の会場で、あの特設ページを編集しているのって、もしかしてあの方ではないかな?と思ってしまったりして、、、なんか何時も悪いなぁ!と反省しています。

by hamayan (2008-12-19 02:19) 

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