SSブログ

FTFデザインチャレンジ参加作品 COIL System 総括編 1. [ColdFire V1]

Img_0677.jpg当日はもう、なんかボロボロで、折角訪れて頂いた方に上手く説明できていなかったり、勿論会場におこし頂けなかった方の為に、改めてこのCOIL Systemの解説を行っていこうと言う連載です。




まず、既にお気づきの方も居られますが、COIL Systemの名前は、電脳コイルを意識した(と言うかそのものだけれど)物です。
あの物語に描かれている世界観に非常に感銘を受け、しかし一応技術者の端くれではありますから、自分なりにコンピューターが生活のあらゆる面をサポートする世界を実現しするとしたら、どんな事が出来るのか?、今出来る方法で具現化してみたかったのです。

流石にコイル現象みたいな物を実現できない、と言うかどう考えてもコイル現象はオーバーテクノロジーであり、物語の中でも偶然発見された現象で、まだ解析されていない事になっていますので、そこまで期待しないで頂きたい。




さて電脳コイルでは、コイル現象と言う超高速な通信手段の発見により、あらゆる所に張り巡らされたその通信ネットワークの中を、電脳めがねと言う一種の端末を通して世界(と言うか小学生が主人公なので、まさにその辺の街中)を見る(アクセスする)と、そこには実際の世界の上に仮想化された世界を重ねて投影し、そこにある情報に常にアクセスできるようなサービスです。「オーギュメンテッドリアリティ」とも呼ばれていますね。
※これって、坂村先生のやっている位置・空間プロジェクトの延長みたいな話ですね。

そこで電脳コイルでは街が丸ごとネットワークでカバーされていたのに対して、私の方はもっとも小さな単位である家の中に限定し、超高速なネットワークは、ZigBeeとEthernetに置き換え、情報を収集するガジェット(センサー)はZigBeeとマイコンを組み合わせたセンサーノードとし、電脳めがねに相当する物はハンディターミナルで実現しています。

本来ZigBeeのトポロジーの一形態であるメッシュを使えばあらゆる所をカバーできるのですが、必ずしも全てを無線ネットワークで接続すればコスト的に良いと言う訳ではなく、無線で繋がり難い所は有線でカバーする方が良いと思い、Interface誌の付録基板であるネットワークスティックを無線←→有線←→無線間のブリッジとして活躍していただいています。
以下の図はデザインチャレンジの選考段階で提出した概念図です。考えてみればこんなに出来る訳無いのですが。
coils_image_01.png




無線ネットワークの構築


最もキーデバイスとなるのが無線機です。これを用意できなければ家全体をカバーする事などできず、この計画自体がおじゃんとなります。

無線デバイスには実績のあるMaxStream社のXBeeを使用しています。MaxStream社の製品の販売を手がけているのはDigi社と言う事になるのでしょうか、日本ではDigi社の日本法人であるディジインターナショナル社が有ります。
既にディジインターナショナル社さん経由で日本に入って来たXBee製品は全て技適を取得し、ディジインターナショナル社さん自らセミナーを盛んに行って居る事から、安心して使えるデバイスと言えるでしょう。販売キャンペーンも行われていますしね。

もっともこんな訳知りみたいな事を書いていますが、実際はまだまだこのXBeeを使いこなせている訳ではなありません。
ほとんどストックの状態で使っているだけで、省電力やメッシュ機能を使っていないので、XBeeについて詳しい事は、セミナー等に参加して情報を収集してください。
逆にそのレベルでも使えてしまうと言う事から、誰でも簡単に無線ネットワークの恩恵に預かれると考えて良いでしょう。

今回はメッシュ機能は使っていません。トポロジーはスター型です。当然と言えば当然なのですが、FTFの展示ブースの2m四方位の面積では、ルーターで中継をしようにも、する要素が全く無いからです。
構成としては、ハンディターミナルをコーディネータとし、センサーデバイスやEthernetブリッジをエンドデバイスとしています。




無線ネットワークの設定


実は評価キットを手に入れられたのなら、一つのコーディネータと一つのエンドデバイス間でループバックを試してみて、正常に無線機能が動いている事を確認された、または確認される事となりますが、ほぼこの設定で実際に自分の装置に組み込んでも、おそらく何の問題も無く通信を開始できるでしょう。

と言っても幾つか設定するか、知って置くべき項目も有ります。

まず無線なので、当然割り当てられた帯域(この製品は2.4GHzのISMバンド)の中を分割して利用する事となります。
この分割された帯域にはチャンネル番号を定義されています。
周辺に同じ周波数帯を使用している無線LAN等が存在した場合、無線LANの干渉を避けた方が当然良い結果を生むので、開発キットのUSB変換基板にコーディネータのXBeeを搭載し、X-CTUにて設定を確認しましょう。
x-ctu_01.png左がX-CTUで読み込んだコーディネータの設定です。
頭から0x13チャンネル、PAN ID=234、DH、DLは相手先の64bitアドレスを32bitずつに分解したものです。

続いてMYと言う項目がありますが、これがイマイチ使い方を判っていない。シリーズ1(IEEE802.15.4のみ)ではMYを接続時のアドレスとして使っていましたが、ZigBeeでは64bitアドレスを指定していました。

SH、SLはデバイス固有のMACアドレスなので、個人が設定する要素は有りません。

まあこの辺りの設定のみで、無線通信を行う事が出来てしまいます。
もしDH、DLに設定されているアドレス以外のエンドデバイスに接続するなら、ATコマンドモードでDH、DLの項目のみ変更するコマンドを送れば、それ以降はそのデバイスと通信が可能となります。


x-ctu_02.png続いてエンドデバイス側の設定を見てみます。
チャンネルやPAN IDがコーディネーターと一致していますDH、DLは0としていますが、相手先アドレスに0:0を指定すると、そのネットワークの中のコーディネータを指す事になりますので、特に相手先アドレスを指定しなくても、コーディネーターを中心としたスター型のネットワークを構築できます。


ブロードキャスト


ブロードキャストパケットを送信/受信する事ができます。以下の2つのキャプチャを見てください。左がブロードキャストした側、右がブロードキャストを受けた側です。
x-ctu_03.png x-ctu_04.png


ATコマンドモードでDLの項目のみ0x0000FFFFに変更しています。このアドレスがブロードキャストアドレスとなります。ただ、よく判らないのですが、ブロードキャストの場合はいっぺんに遅れるデータの数が極めて小さい様に思えます。

※とりあえずいきなり組み込みに組み込んでしまう前に、しばらくX-CTUで色々いじり倒した方が良いかな。
それで使い方を把握してください。

※つづく
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 4

高木

Xbeeの解析ありがとうございます.
私もコーディネータの設定がよくわからず,困っておりました.
わかりやすく書いて頂き,助かりました.

お使いのXbeeはseries2ですよね.
ブロードキャストの遅さですが,
Zigbee開発ハンドブック-実践入門ネットワーク-
という本によると,Zigbeeのブロードキャストは
1.送り手のノードがパケットを電波で飛ばす
2.1.パケットを受け取った全てのノードはそれを再度電波で飛ばす
2.2.もしすでに受け取ったことのあるパケットを受信した場合はそれを破棄する
3.パケットに設定された寿命(Xbeeの場合 Bload Cast Radiousだと思われる)まで2を繰り返す
受け取ったことのあるパケットかどうかはパケットごとのIDで見分けているようです.

ブロードキャストの場合,全てのノードがパケットを監視し,パケットの再送や破棄をしなくてはなりません.また,パケットが何度も電波として飛び交うことになります.これがブロードキャストの遅さだと思います.

間違っていたらすみません.
by 高木 (2008-09-15 01:26) 

hamayan

ブロードキャスト時の動作について教えていただき有難うございます。
これで反応が遅れてデータが送出される理由がわかりました。
ちょっと不思議だったのですよね。

ブロードキャストを使って時刻同期が出来るかと思ったけれど、無理そうですね(笑)。
by hamayan (2008-09-15 09:45) 

高木

時刻同期ですが,Bload Cast Radiousを1にしてパケットをブロードキャストしたところ,人の目にはほぼ同時に受信されるように見えました.
単純なセンサ用途であれば可能だと思います.

もしブロードキャストを連続で送る必要があるのでしたら,Series1のほうがよいように思います.メッシュネットワークではないので10m程度しか通信できませんが,ユニキャストもブロードキャストも変わらないスピードで通信できました.ご参考まで.

by 高木 (2008-09-15 17:02) 

hamayan

> Bload Cast Radiousを1にして

なるほど、そう言った使い方ができるのですか。
今度試してみます。

> ブロードキャストを連続で送る必要があるのでしたら,Series1

確かに通信のレスポンスはシリーズ2よりシリーズ1の方が良いですね。
メッシュを使う予定が無ければ、シリーズ1はお勧めです。

ただ2.4GHz帯なので、曲がらないのがどうにも。
早く国内でも800MHz帯でしたっけ、解禁になれば良いのですが。
by hamayan (2008-09-16 22:42) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。